タイ日系企業の人事制度構築のポイント

タイにおいて欧米企業やローカル企業との人材獲得競争が激しさを増すなか、多くの日系現地法人が、給与の競争力や人事評価の透明性を高めることを目的として「人事制度」の導入や改善を進めています。 しかし、日本とは異なる文化・歴史・価値観を持つタイでは、日本と同じ考え方に基づく人事制度は必ずしもフィットしま

タイの賃金上昇と求められるタイ日系企業の変化(2017年版)

タイにおける人件費は上昇傾向 2017年1月1日からのタイにおける最低賃金が更新されました。これまでの最低賃金は、1日300バーツでタイ全国一律ですが、2017年1月1日からは次のように4グループとなりました。   1バーツ=約3.35円(2017年7月1日現在) 1日300バーツ=約

アジア経営論考(5)大企業が新興国で戦うには? ~意志ある異分子を変革の中心に~

日本の大企業は新興国で勝てない… 先進国の大企業が新興国市場で大きなシェアを獲得して成功するのは、なかなか難しいものです。日本でのマーケットシェアが大きな企業は、特にその傾向が強いように思います。日本での成功体験が社内での「正解」になってしまい、日本と新興国では違うことがたくさんあるにもかかわらず、

元P&G米国本社プレジデント兼アジア最高責任者桐山一憲氏に学ぶ グローバルで活躍する人材の育て方vol.3

”海外駐在体験で得たマイノリティへの理解と配慮” 前回はP&Gにおいて、ストレッチアサイメントがどのように徹底されているか、桐山氏ご自身の体験も含めてお伺いしました。 今回は、桐山氏自身のストレッチ・アサインメントであった海外での経験が、後にアジア最高責任者として活躍される桐山氏に、どのよう

日系企業のグローバル化における論点とアジアの海外現地法人の現状

はじめに この記事では、近年のグローバル化の流れの中で、今、東南アジアで何が起きているのか、また、本社サイドで何が起きているのか、基本的な論点についてお伝えさせていただきます。 私は、企業の人材育成のお手伝いを数多く手がけていますが、それにとどまらず、エンゲージメントサーベイ(従業員意識調査)や現地

アジア経営論考(4)地域戦略の「塔」構造~東南アジアでの戦略づくり~

地域単位での戦略づくり 様々な企業の「東南アジア戦略」について伺う機会がありますので、それらの経験を通じて考えてきたことについて、議論していきたいと思います。タイのチュラロンコン大学サシン経営大学院日本センターの藤岡資正先生も、地域戦略の重要性について語っていらっしゃいますし、私も様々な機会で一緒に

三菱商事 松田氏から学ぶ 海外現地法人の組織課題と成功の処方箋(1)

先日、三菱商事株式会社人事部グローバル研修・採用担当オフィサーの松田豊弘氏を講師にお迎えして、特別セミナー「三菱商事 松田氏から学ぶ 日系企業のグローバル化に向けた組織課題と成功の処方箋」(beyond global主催)を開催しました。 松田氏は三菱商事本社国際人材開発室、在香港グローバルヒューマ

アジア経営論考(3) 「会社の強さ」とは何か?

経営資源に目を向ける 「私たちの会社の強みを活かそう」というような議論がされることがあります。「会社の強み」とは何のことでしょうか。あるいは、「会社に強みがある状態」というのは、どういう状態のことでしょうか。今回は、こういったことについて考えていきたいと思います。 経営学の世界では、大きく2つの視点

「報連相」は世界基準? 〜「報連相がない!」と怒る日本人駐在員 vs. 「報連相って何?」と真顔で質問する現地スタッフ〜

「報連相」は世界基準? 日本で学業を終えて就職するとまず受ける教育が「それぞれの企業哲学や行動基準」「プロダクト説明」や実務レベルで言えば「社会における電話対応」や「ビジネスエチケット」だろうと思います。合わせて、多くの方々が「報連相」も叩き込まれて数年の間に血肉となっているのではないでしょうか?

作業員の品質意識を向上させる3つの手法

海外工場で作業員の様子を観察していると製品の取り扱いが雑で「品質意識が低いなあ」と感じることがあります。作業員が手で製品を取り上げる動作でも「製品にダメージを与えないように意識しているか」で取り扱いがずいぶんと変わるものです。製品は多くの作業員の手を経て作られて行きますから、作業員一人一人が高い品質