社員の意識改革を実現するためのアプローチと具体的提案

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

先日ある大手日系企業メーカーの常務からこんな相談を受けました。

「あらゆる研修やセミナーには手を打ち尽くしました。
制度も変えました。ただ役員含めた管理職の意識が変わらない」

何とかしてほしいとすがるような声で、仰っていたことを今でも鮮明に覚えています。

この会社は生産性を高めるために、欧米型の評価制度へ変更し、組織体制もかえ管理職を半分に減らし、様々な研修もやり尽くしています。

では、このような様々な取組みはしてきたのだが、意識改革が出来ないという課題に対して、

意識改革を成功するには何が必要なのでしょうか。
意識改革のパターンやアプローチの仕方について御社にとってもっとも効果的なやり方は何なのでしょうか。

今回は、人事コンサルタントの私がさまざまな事例を用いて、そのポイントをご紹介します。

 

目次

———

導入
1.意識改革が必要な理由を確認する
2.意識改革が上手くいかないケース
3.意識改革を通じた4つのゴールとやり方
・ゴールその①:組織文化を変える
・ゴールその②:組織の理念・ビジョンの浸透
・ゴールその③:管理職の意識を変え社員の可能性を引き出し強いチームを作る
・ゴールその④:現場社員の主体性を引出す
4.ゴール達成に向けた意識改革設計のポイント
・ポイントその①:「変革をゴールとした設計を組織一体となって行なう」
・ポイントその②:「意識変革は一人ひとりの内発的動機に火をつける」
・ポイントその③:「変化をモニタリングし、伴走者をつける」
5.理想と現実のギャップ
・施策だけでは上手くいかない意識改革の闇
(1)現場の壁
(2)組織の壁
(3)利己主義の壁
・組織の中で主体性を失う実態
・ギャップを埋めるために本当に押さえておくべきポイント
6.自社にとって必要な意識改革の設計ポイントとゴール別具体例
7.意識改革を御社でも成功させるために

最後に
===

1.意識改革が必要な理由を確認する

意識改革そのもののやり方に入る前に、まずは、御社で起きている課題を確認していきます。
この課題に対して最も有効な意識改革アプローチを定めていきます。
下記が組織面、個人面でよく他社でも伺う声です。御社ではどれが当てはまるでしょうか。

□社内や部署内の雰囲気が良くない。人間関係が良くない
□部門間連携が取れていない
□“やったもん負け”の雰囲気があり諦めている
□上司にリーダーシップが不足している
□仕事が忙しい上に、俗人化している
□仕事が忙しく、部下を育成する時間がない。若手が成長しない

上記に共通する課題は、部分最適・短期最適にとらわれ、違和感に蓋をし、本当に大事なことが組織として話し合われていないということが考えられます。

ここで、他社でヒアリングした際の内容をご紹介しておきます。

・現場のメンバーが「自ら」「○○したい」という主体者意識が無い
・組織目的にコミットした意識・行動が生まれていない
・一人ひとり自分であれば何ができるか?と考え、行動を起こすマインド・スタンスがなく受け身的体質である
・組織全体のコミュニケーションが活性化されていない(風通しが悪い)

次に個人面です(この企業ではもともと管理職に課題意識がありました)
・所長が数字達成・部下育成といった長期視点がなく、目先の数字、所謂短期視点で日々追われ疲弊している
・自分なりの育成の仕方、チームのマネジメント方法が出来ていない

2.意識改革が上手くいかないケース

では一方で、意識改革を進めようとした時に、成功するかどうかが決まるポイントをお伝えしておきます。
これまで300社以上を支援する中で、見えてきたポイントです。御社ではどうでしょうか。是非参考にしてみてください。

社長コミットメントがない(人事任せになっている)
意識改革のゴール明確に定義されていない(定量化できていない)
□意識改革が例えば研修などの施策で終わっている(やることが目的化している)
□現場のトップに、健全な危機意識がない(変える意識が生まれていない)
□意識改革の施策が、パッチワーク型で経営戦略と連動していない

3.意識改革を通じた4つのゴールとやり方

では、意識改革のゴールを定めていきましょう。意識改革を通じたゴールは大きく4パターンあります。
先ほどの課題踏まえ、どこにゴールを置くかによって有効なアプローチが変わってきます。

ゴールその①.組織文化を変える

他社でこれまで伺ってきて多かったのは、
・風通しの良い職場にしたい
・ビジネスで勝ち残るために平時の危機感を醸成したいです。

私の経験上、組織文化を変えるには平均3年を要します。
要は、組織力を高めるために
最も改革が出来る層から着手するアプローチです。

よく使われるのが、
ジョン・コッターの組織変革の8つのステップです。

<イメージ図>

 

 

ゴールその②.組織の理念・ビジョンの浸透

他社では、ビジョンそのものが形骸化されてしまい、社員に一体感がないので、まずはビジョンを社員全員に理解させ、「ジブンゴト」として捉えてほしいという相談を受けたことがあります。

実は、その相談を受けた時にその企画担当者様へ「会社のビジョン何ですか?」と伺ったところ、
「よくわかりません」という回答が来ました。

要は、一人ひとりが会社の方向性踏まえどうしたいかを明確にして社員のエンゲージメントを高めるアプローチです。

ここで大事になるのがビジョンに対して社員のコミットメントレベルをきちんと定めるということです。
下記の「コミットメントレベル」を目指すということです。

<イメージ図>

ゴールその③.管理職の意識を変え社員の可能性を引き出し強いチームを作る

他社では、これまで同質的、つまり自分の考えややり方を部下、メンバーに押し付けて行なうマネジメントのやり方が課題で部下、メンバーが育っていないという問題が起きていました。

要は、管理職が社員の可能性を引出すマネジメントやリーダーシップ改革アプローチです。

ここで重要になるのが、意識を変えたあとに職場に戻ってから強いチームを作り職場変革をする必要があるため意識変容から行動変容。つまり3ヶ月以上の職場実践活動まで設計する必要があります。
施策を打ち上げ花火で終わらせて意味がありません。

<展開イメージ>

ゴールその④.現場社員の主体性を引出す

他社では、現場最前線で且つ現場にも上層部にも影響力のある中堅社員(30代前半)のリーダーシップを引き出し、組織を活性化させたいという相談を受けました。要は、中堅社員の改革から始まるアプローチです。

<展開イメージ>

 

 

4.ゴール達成に向けた意識改革設計のポイント

ではゴールを定めたら、意識改革設計を行ないます。ここでは最も重要となる(成功するかどうかを決める)ポイントをお伝えします。上記ゴール①から④に共通します。

ポイントその①
「変革をゴールとした設計を組織一体となって行なう」

そのために、意識改革したあとに大事なのは行動を改革し、組織変革につなぐ設計を経営、管理職、人事が一体となり、考える機会を設けることです。そもそも、ゴールについてこの3つの立場が同じ方向を握っていなければ設計すら難しくなります。
これまで多くの会社での上手くいかないケースを見て来ました。この3者の考えや方向性が一致していない場合、
意識改革は打ち上げ花火で終わります。

ポイントその②
「意識変革は一人ひとりの内発的動機に火をつける」

要は、無理矢理「改革だ!変えろ!」と叫んでも変わってほしい人は反発しか生まれません。一人ひとり(それは役職、経験問わず)そうなりたい、やりたいという内発的動機や、欲求が湧き上がる状態を作らなければ意識改革は受け身で終わって継続が難しくなります。

ポイントその③
「変化をモニタリングし、伴走者をつける」

意識改革は一日で出来るものではありません。意識改革を始めたタイミングから、途中途中で変化度合いを多面評価や、組織診断サーベイなどで適宜PDCAを回すことが求められます。

またPDCAを社内で回し続ける仕組みが無い場合、外部で伴走者(弊社ではフィードバッカーやコーチ)を付け変革が完了するまで行なうことが求められます。

5.理想と現実のギャップ

・施策だけでは上手くいかない意識改革

ここまで読んでいただくとあとは、ゴールとポイントを定め自社向けに設計し社内稟議を通し、実行に移すだけとほとんどの方が思うかもしれません。

確かに「施策の企画と実行」がゴールであれば進んで頂いても良いのですが、私が過去様々な企業をコンサルティングする中で、施策が実を伴わない、

「絵に書いた餅」

で終わってしまうケースがあったので、そうならないために説明します。

これはどんなに念入りに施策を企画したとしても実行に移すにあたりいくつかの「壁」が組織には存在するとことが分かりました。

一つ目が「現場の壁」
二つ目が、「組織の壁」
三つ目が、「利己主義の壁」
です。

(1)現場の壁とは、

要は、何かを変えようとしても現場にやる気がおこらず、人事がいくら頑張っても人事の自己満足で終わってしまうパターンです。

これは多くの組織で起きています。

従業員が目の前の仕事に追われ、短期思考・狭い視野で考えるが故に変化に対してどんどん保守的になっていく
現象です。色々な企業の人事の企画担当と話しをする中で、よく聞く「人事主導の研修が現場に理解されない」という話しがありますが、その原因には人事の発信力不足や現場との距離感というものも存在するでしょう。

ただそれ以上に、そもそも変化が激しく顧客の要望が変わる中で対応する現場のストレスは高まりやすく、画一的なやり方で勝ってきた考え方を重視する人が多い組織は「このままで何とかなる」という保守的な考えが深く根付いています。

そのような組織は、
・会議は上司しか話さない(部下は上司の顔色ばかりを窺う)
・成果は時間で稼ぐ(効果的なやり方より過去のやり方を重視する)
・職場の雰囲気が悪い(風通しが良くない、口数少なく暗い)
というような特長があります。

(2)組織の壁とは、

要は、組織の中に存在する縦社会を意味します。例えば、●●事業部と、△△事業部や、営業部と、開発部といったような事業や職種という括りがされた瞬間に、その括りごとに無意識の縄張り(枠)が生まれ、自分のテリトリー意識が芽生えるのです。

営業と開発が上手く行かないというケースはよく聞きますよね。その結果、組織の枠を超えた取組み(全社横断PJTなど)は無関心となり、受け入れ難く自組織のこと、自業務に従事せよという指示が下されるのです。

(3)最後に、利己主義の壁とは、

要は、役職などのポジションや、職種のみならず、組織に所属する以上、個人に宿る下記のような個人的感情です。

「自分はここまでやっているし、それ以上はやりたくない」
「自分が一番大変だし頑張っている、上司は分かっていない」
「結局、会社は何もしてくれないから危ない橋は渡らず無難にいこう」

自分さえ良ければ良いという考え方が蔓延し、組織に対し他責状態であることです。

特に管理職の皆さんの課題を個別面談などで話しを聞く機会も多いのですが、皆さん言わないだけで誰しも思っています。ではなぜ、このような壁が生まれてしまうのでしょうか。

・組織の中で主体性を失う実態

企業という組織の中に入ると、雇う側と、雇われる側という関係性が生まれます。要は、経営者と従業員です。組織である以上、そこにルールや文化、考え方があり、人はそこに合わせ働くことになります。上司に従い、組織のルールに合わせ続けることで、入社時の想いや、自分ならでの意思やこうしたいという「主体性」は当然ながら低下していきます。

組織の中で、慣れていくと、無意識の内に選択し妥協していく癖がついてしまうのです。

以前3年3割という言葉も流行った時期もありましたが、本当はこうしたいという想いがあった社員が組織の中で、
諦め、ぶら下がっていく問題を私は多く見てきました。御社の社員はどうでしょうか。あなた自身はどうでしょうか。もちろん、組織という環境を使い、やりたいことを実現できる人もいます。

主体性が育まれる組織も一方あり、主体性を重視する組織では上記現象とは真逆のような状態が起こる訳です。組織でイキイキ働く方のインタビューを聞いて、印象的だったコメントです。

「組織イコール自分です。全て自分次第ですし、組織を使うのが社員の役目なんじゃないですかね。皆、そうなってほしいですよね」

もはや組織という環境を自己実現のためにいかに使うか。そういう意識やスタンスを持つ社員がいる組織は今後も間違いなく競争に勝っていけるはずです。しかしながら多くの組織ではこのような現状が引き起こっているのです。

・ギャップを埋めるために本当に押さえておくべきポイント

ではここまでみてきた理想と現実を繋ぐために、知っておくべきポイントを整理しておきましょう。

一言で言えば、「正しい現状把握」です。

具体的には、従業員と組織の関係性を正しく把握するということです。細分化すると例えば下記のようなポイントを押さえ、経営サイド、人事トップ、現場トップが一枚岩になり、共通認識を持つことです。その上で、これら事実に対し会社として何を問題だと定めるか?です。

従業員が組織にどのような感情を抱いているかを把握する
主体性の発揮度合いを把握する
組織のルールやコンプライアンス遵守度合いを把握する
離職者や休職者の実態・原因を掴む
上記把握に対する客観的分析、洞察分析をかける

6.自社にとって必要な意識改革の設計ポイントとゴール別具体例

上記壁と組織内で起きている現状把握をした上で、「絵に描いた餅」ではなく、「血の通った施策」の設計に向け動き出します。ゴールと設計のポイントを踏まえ、具体的設計を決めるステップは下記になります。

ステップ1:
経営者の意識変革ゴールに対する考えをヒアリングする

ステップ2:
中期経営計画、業績、組織構造(人員構成、年齢、ピラミッド)を把握する

ステップ3:
期間とどこからどう始めるかを定める

例えば、上記ゴール①から、④について具体例を出すと下記になります。

ゴールその①.組織文化を変える(ある大手メーカー子会社の例)

・経営の考え:平時の危機意識をもった風土を醸成させたい。受け身的体質を変えたい。
・中期経営計画など:3カ年で売上倍。人員増員は見込めず特にミドル社員の生産性を高める必要がある。
・期間、どこからどうやるか:3年で中堅社員の意識改革プログラムを行い、年間20名を3年かけて約4ヶ月のプログラムを実施。
⇒1年目を意識変革、2年目も行動変革、3年目を会社変革というフェーズに分けて実施。

ゴールその②.組織の理念・ビジョンの浸透(国内大手ITソリューション会社)

・経営の考え:理念浸透を通じて社員の一体感を醸成。社員が組織を使う意識になってほしい(理念メッセージの体現)
・中期経営計画など:事業拡大、買収もあり組織が急激に膨らむ。
・期間、どこからどうやるか:1年かけて組織別に「ビジョン浸透ワークショップ」を管理職から社員一同に実施。⇒各組織を周りワークショップ後にアクションをお越した結果を全社で報告しあいPDCAを回す。

ゴールその③.管理職の意識を変え社員の可能性を引き出し強いチームを作る(国内大手メンテナンス会社)

・経営の考え:マネジメント層が属人化しており生産性が低い
・中期経営計画など:人員は微増の中で、新たなイノベーション事業を立ち上げるためマネジメント層からの提言が必要。
・期間、どこからどうやるか:6ヶ月をかけて選抜マネジメント層向けにマネジメントとリーダーシップ意識変革⇒プログラムを実施。半年後の数値変化では、各自の変革宣言が成され現在は中期経営PJメンバーに参画。

ゴールその④.現場社員の主体性を引出す(国内大手商社)

・経営の考え:若手のリーダーシップ開発を段階的に行ない国内外通じて通用する次世代リーダーを会社として育てていきたい。そのための投資は厭わない。
・中期経営計画など:グローバルでの売上を一気に加速させる計画があり数年以内で海外駐在の人材も増やす必要がある
・期間、どこからどうやるか:各事業体から上司推薦含め選抜された層にグローバルリーダーシップ開発を実施。⇒6ヶ月での事業提言を通じて社内。外の巻き込む力を養成。その後、組織横断型のPJTを人事が推進。

7.意識改革を御社でも成功させるために

御社の企業の意識改革をするために。どこから手をつければ良いかわかりましたでしょうか?

どこで意識改革のフローが止まっていたか分かりましたか?

そもそも、組織の課題がどこにあるか仮説は立ちましたか?

このように論理的にあぶりだすことで、組織変革に対する有効なアプリーチが見えてきます。

場合によっては、社外の力を得るということも有効な選択肢と言えるかもしれません。なぜなら他社を知り、客観的に御社の意識改革成功の道筋を描き、実行と成果を促す知識と経験、そしてノウハウがあるからです。弊社は単なる「絵に書いた餅」ではなく「血の通った施策」つまり、組織の現状を的確に捉え課題をあぶり出し、その会社の実態に即した有効な意識改革アプローチがご提案できます。過去300名以上の管理職、1200名の経営、人事とのコンサルティング経験を活かしてきっと御社にとってお役にたてるご提案が出来ますので、もしよろしければ下記まで一度ご連絡ください。

info_j@beyond-g.com
beyond global Japan和久田宛

最後に。

ここまでみてきたように、意識を改革のゴール、設計のポイントは企業課題によって異なることは言うまでもありません。ただ改革をして終わりなのか、改革を組織の変革まで繋げるのかで設計の仕方は異なってきます。御社にとって、最も有効打となりうる意識改革アプローチを社内外のリソースを活かし実行に移してみてください。

button
button
button
button






The following two tabs change content below.
和久田 恵太郎

和久田 恵太郎

Chief Operating Officerbeyond global Japan株式会社
大学卒業後、大手外資系メーカーでプロモーションや新規開拓営業を経験。シェアを拡大し販売モデルを構築。5年後、株式会社シェイクに入社し、コンサルティング部門の責任者として企業ごとの経営戦略からあるべき人材育成を描くコンサルティング営業を行う。特に研修設計から組織開発の企画と実行までを担う。得意分野は、ビジョン構築や組織変革デザイン。大手商社、老舗メーカー、金融系など実績手数。同時にファシリテーターとして若手向け研修の登壇や、部長から課長層へのコーチングと行動変容をサポートする。その後、beyond global グループに参画。日本の責任者として日系企業の真のグローバル化支援に奮闘中。主に組織開発、赴任前研修、グローバルマインドセット、修羅場経験のデザインなどプロデュースを行う。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事がよかったら「いいね!」お願いします。

関連記事