東南アジア現地法人では、現地化やローカルマネジメントへの権限委譲、マネジメント層の入れ替わり等が始まっており、今のマネジメント層の活躍や意識改革への期待が多くの企業が高まってきています。
幸いにもコロナ以降に、半年から2年間ほどかけて長期的なマネジメント層への育成・トレーニング、また組織開発プロジェクトに携わらせていただくことが多くなり、日系現地法人の組織変革の場の第一線を見させていただいております。
本記事でその中で得た知見をおまとめし、東南アジア現地法人の皆様にとってローカルマネジメントの課題解決への良いヒントが得られましたら幸いです。
ローカルマネジメントが次々と主体的に変わっていく理由
- 自分の業務だけではなく、組織目線での思考や戦略的な業務を行なってほしい
- ナショナルスタッフから、トップマネジメントへアイディアを提案してきてほしい
- 部下の面倒をしっかり見て、後継者を育ててほしい
- 縦割りな文化から、他部署と連携・協力しながら戦略目標を達成してほしい
- ゆくゆくはマネジメント層 or トップマネジメント層を完全にローカル化したい
といった思いを持って、弊社までご相談をいただくことが10年間ご支援してきて、一番多い印象です。どの企業様でも、上記のようなローカルマネジメントに対しての期待をお持ちで、そのために毎日フィードバックや組織改革等を行われているかと思います。
弊社では、こういったお客様に対して、組織総合診断・人事制度・人材育成を通じて、最終的にはローカルマネジメントのリーダーシップを変えてきました。
もちろん、全ての企業様が変われたわけではありませんが、我々が提唱している企業体質変革の全プロセスを踏んできた企業様のほとんどが変わっています。
それは、我々のプログラム・サービスが素晴らしいのではなく、ただ「彼らに変われる機会」を本気で与えてきただけです。
過去の経験、マネジメントというポジション、現在の私生活・環境などから、今の考えを持っていることがほとんどです。
しかし、そこを置き去りに、組織からの一方的な「研修」「フィードバック」「組織改革」、もしくは何も行なっていないが故に、彼らは「変わる機会」を持てずにいます。
本気を持って、彼らは「変わる機会」を持たせてあげられるかどうか?
我々は、「変わる機会」の提供から、“保守的な”ローカルマネジメントが、変わっていく姿を見てきました。
▼変革事例
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そもそも今までの組織運営では、“保守的に”考える人材が育成されてしまう仕組みである
言われたことを忠実にこなし、新たなことへの挑戦ではなく問題対処にフォーカスを当てて組織運営を行なってきた日本企業は、”保守的な”ローカルマネジメントへ育成される仕組みとなっていました。
特に、製造業では、正確性と安定性を社員に厳しく求めてきた背景もあり、保守的な文化は生まれやすい環境でもあります。(正確性と安定性を兼ね備えたマネジメントだったから、他国よりも成長できているとも言われています。)
現地法人では異文化環境(お互いが分かり合いにくい環境)の影響もあって、より顕著に表れています。
例えば、ナショナルスタッフが過去に上司への提案を拒否されたり、日本人駐在員がトップダウンで戦略・施策を決めて進めたりなど、組織の中心部へ携わることよりも正確に安定的に業務を行うことをミッションとしているケースも多いです。
実際の声として、我々が社員インタビューをさせていただく中でも、
- 日本人駐在員と話しても、アイディアを否定され、受け入れてくれない
- 日本人駐在員とのコミュニケーションの壁があり、何を考えているか分からない
- 何を考えているか分からないが故に、組織の方向性は見えず、日本人からリーダーシップを感じられない
- 今まで不満を伝えたことがあるが、結局変わらなかった
- 結局日本人が最後に決めるのであれば、組織に深く介入せず無難に定年まで過ごしたい
といった声を聞くことが多いです。
特に長く勤められているマネジメントの方々ほど、上記のような考え方を持っており、余計に”保守的な”マネジメントスタイルになりやすい傾向にあります。
今までの組織運営での期待値と現在の期待値のズレが大きな溝となっている
ただ、日本人駐在員の皆さんが現在のマネジメント層へ期待していることとしては、先ほどにも述べた下記のようなものではないでしょうか?
- 自分の業務だけではなく、組織目線での思考や戦略的な業務を行なってほしい
- ナショナルスタッフから、トップマネジメントへアイディアを提案してきてほしい
- 部下の面倒をしっかり見て、後継者を育ててほしい
- 縦割りな文化から、他部署と連携・協力しながら戦略目標を達成してほしい
- ゆくゆくはマネジメント層 or トップマネジメント層を完全にローカル化したい
ここで注目していただきたいのが、ローカルマネジメントの考え方と皆さんの期待値のズレです。
- 新たなチャレンジや組織目線での活動を拒まれてきたローカルマネジメント。
- 新たなチャレンジや組織目線での思考を行なってほしい日本人。
この違いをきちんと理解することが最初の一歩です。
この違いはVUCAの時代への突入によって生まれたものだと考えています。市場変化によって企業からマネジメントへの期待値は変わりつつある中で、きちんと彼らに教育する機会がなければ、もちろんマネジメント層は昔の成功体験のあるマネジメントをし続け、変わるきっかけがありません。
そのため、決して現在のマネジメント層が、能力やポテンシャルがないのではなく、企業からの期待値が変わっているからこそ、まだ彼らが対応しきれていないだけだと考えています。
現在のトップマネジメントが、ローカルマネジメント層へできる初めの一歩
ローカルマネジメントと皆さんの中での期待値のズレが分かったところで、ではどうやってそのズレを埋めていけば良いのでしょうか。
まず、皆さんの中でできる初めの一歩としては、
トップマネジメントが彼等の本音を知り、歩み寄っていくことです。
本当にローカルマネジメントの心を変えられるかは、トップマネジメントが彼らに歩み寄れるかです。
▼あなたは、ローカルマネジメントに歩み寄れていますか?
- ローカルマネジメントの本音を知る機会・環境を作っていますか?
- 彼らが今まで受けてきたマネジメントスタイルを知っていますか?
- 彼らが期待するマネジメントスタイルを知っていますか?
- 彼らが期待するマネジメントスタイルを実践できていますか?
- 彼らが日本人駐在員・日本本社に求めていることを把握していますか?
- 彼らのモチベーションポイント・ディモチベーションポイントを把握していますか?
- 彼らが仕事において、本当に困っていることを把握していますか?
我々が組織変革携わってきた中でも、成功してきたプロジェクトは一貫して、トップマネジメントの方々が日頃からナショナルスタッフとコミュニケーションを取り、信頼関係を結び、リーダーシップを行動で示しています。
- 彼らと共に成長し一緒に成し遂げる意識・行動があるか?
- トップマネジメントが先導に立って変わっていく姿を見せられるか?
が非常に重要な要素となってきます。
そのためにも、まずナショナルスタッフの本音を聞き、彼らの文化や思考特性等を知った上で、対等の立場でコミュニケーションを取っていくことがまず最初の一歩となります。
まず彼らのことを知ってあげること、そしてそこから見える視点からコミュニケーションを取っていくことが、最初にできることだと思います。
シンガポール人の文化や思考特性については、下記のリンク先でまとめていますので、ぜひご参考ください。シンガポール歴20年の日本人講師に寄稿いただいており、シンガポール人の政治・文化・教育から深い部分を知ることができます。
▷シンガポール人の特徴とシンガポール人と上手に働くコツ
https://globalleaderlab.com/singaporeans
また、もし「自分では社員の本音を聞き出すのが難しい」と思われた方は、ぜひ外部の専門家にも頼ってみてください。
弊社では、定量的な可視化の組織総合診断(全体像の把握)と定性的な可視化の社員インタビュー(数値背景の把握)の両方のアプローチから、社員の本音を明らかにしております。
無料個別相談会等でこちらはご案内しておりますので、ぜひご興味のある方は下記のフォームよりご連絡いただけましたらと思います。
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米田 晃
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