JTから学ぶ日系企業のグローバル化のあり方 Vol.1

日系企業の強みをどう生かすのか 日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、国内の人口減少を見越して、早くから、経営の多角化やグローバル化を進めてきている企業です。現在は、売上の約6割が海外事業であり、社員数で見ても6割程が海外勤務となっています。 そのJTにおいて、日本国内のマーケットに責任を持つ日本

日系企業のグローバル化における論点とアジアの海外現地法人の現状

はじめに この記事では、近年のグローバル化の流れの中で、今、東南アジアで何が起きているのか、また、本社サイドで何が起きているのか、基本的な論点についてお伝えさせていただきます。 私は、企業の人材育成のお手伝いを数多く手がけていますが、それにとどまらず、エンゲージメントサーベイ(従業員意識調査)や現地

アジア経営論考(4)地域戦略の「塔」構造~東南アジアでの戦略づくり~

地域単位での戦略づくり 様々な企業の「東南アジア戦略」について伺う機会がありますので、それらの経験を通じて考えてきたことについて、議論していきたいと思います。タイのチュラロンコン大学サシン経営大学院日本センターの藤岡資正先生も、地域戦略の重要性について語っていらっしゃいますし、私も様々な機会で一緒に

三菱商事 松田氏から学ぶ 海外現地法人の組織課題と成功の処方箋(1)

先日、三菱商事株式会社人事部グローバル研修・採用担当オフィサーの松田豊弘氏を講師にお迎えして、特別セミナー「三菱商事 松田氏から学ぶ 日系企業のグローバル化に向けた組織課題と成功の処方箋」(beyond global主催)を開催しました。 松田氏は三菱商事本社国際人材開発室、在香港グローバルヒューマ

高品質・低生産性-日本人管理職のマネジメントにみる日系企業の課題-

高品質・高信頼だが、低生産性の日本。要因はマネジメント能力?! シンガポールでタクシー運転手に「日本車に乗っているのね」と話しかけると、「reliable(信頼できるからね)」と返ってきました。海外に出ると、日本の商品やサービスが高く評価されていることに気付かされます。特に日本の製造業と建設業は、工

アジア経営論考(3) 「会社の強さ」とは何か?

経営資源に目を向ける 「私たちの会社の強みを活かそう」というような議論がされることがあります。「会社の強み」とは何のことでしょうか。あるいは、「会社に強みがある状態」というのは、どういう状態のことでしょうか。今回は、こういったことについて考えていきたいと思います。 経営学の世界では、大きく2つの視点

「報連相」は世界基準? 〜「報連相がない!」と怒る日本人駐在員 vs. 「報連相って何?」と真顔で質問する現地スタッフ〜

「報連相」は世界基準? 日本で学業を終えて就職するとまず受ける教育が「それぞれの企業哲学や行動基準」「プロダクト説明」や実務レベルで言えば「社会における電話対応」や「ビジネスエチケット」だろうと思います。合わせて、多くの方々が「報連相」も叩き込まれて数年の間に血肉となっているのではないでしょうか?

オンラインコミュニティ―今、現れつつある新しい可能性

コミュニケーション世界の急速なグローバル化や人工知能(AI)をはじめとするテクノロジーの発展により、企業で求められる人材の質も大きく変化しています。現在、人間が行う仕事の多くが機械に奪われることが予測され、「人間にしか出来ない、または人間が優位性を発揮出来る仕事はどのようなものか」といった議論も活発

タイにおける「世代の違い」を組織戦略に活かすために

タイにおける「世代の違い」を組織戦略に活かすために 東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に進出している日系企業数で、タイは4,567社(2015年JETRO調査)で一位です。そのタイにおいて、在タイ日系企業の駐在員から良くお聞きする「人」に関する悩みとして下記の言葉を良くお伺いします。 在タイ日

作業員に作業標準書を正しく守らせる3つの手法

工場では作業員が作業標準書に従って製品を生産しています。工場にある作業標準書の数量は膨大な枚数になりますが、これを全ての作業員に正しく守らせることにより「品質、納期、コスト」を満足させる製品を作ることが出来ます。しかし、現場を良く観察すると「作業員の作業と作業標準書の内容が合致していない」などのケー