アジアでの採用活動を成功に導くための“Recruiting kick-off meeting”のススメ

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前回の記事「日本の常識はアジアの非常識アジアでの採用がこんなに難しい理由。」で、日本とは勝手の違うアジアでの採用の難しさをまとめました。では、どうすれば海外での採用活動を成功させることができるのでしょうか。今回は採用の成功率をグッと高める“Recruting kick-off meeting”についてお伝えします。すでに取り組んでいらっしゃる方もいるかもしれませんが、その進め方を含め、参考にしていただければ幸いです。

採用の成功率をグッと高める“Recruting kick-off meeting”とは何か?

まず、Recruting kick-off meetingとは何なのか。一般的に広く認知されているワードかは分かりませんが、海外のリクルーター達が集うHRカンファレンスなどでも時折使われています。日本語では“採用会議”と訳すのが適切でしょうか。まさに、採用活動をスタートにするにあたって開かれる会議のことを言います。Recruting kick-off meetingの目的は、採用部門と求人ニーズを持つ現場との間で共通認識を持つことです。

日本国内においても、こうした会議を行う会社はあるかと思いますが、採用活動の難しいアジアの地において、このRecruting kick-off meetingを行うことは効果的です。それには大きく3つの理由があります。

Recruting kick-off meetingが持つ3つの効能

1.コミュニケーションエラーが防げる

まず一つ目には、コミュニケーションエラーの防止です。言語や文化の違う海外での採用活動では関係者同士の意思疎通のズレが生じやすいものです。採用関係者を一堂に集めるRecruting kick-off meetingにより、現場が望む人材ニーズを十分に引き出すことができ、エージェントなどの採用協力パートナーへも正しく伝えることができます。

2.採用活動に対する周囲からの協力が得られる

二つ目には、採用担当の孤立無援状態の解消です。慣れない土地での採用では情報が乏しく、頼れるパートナーも少ないのが現状です。こうした会議を通じて課題を共有することで、周囲から採用活動に協力してもらいやすい関係を構築することに役立ちます。

3.採用マーケットを理解し、打ち手を考えることができる

三つ目に、採用マーケットの現状共有です。採用市場に関する情報が乏しいこともあり、その難易度を理解しないまま採用活動を行い、結果上手くいないということが多くあります。採用マーケットの現状をデータなどを用いて具体的に共有することで、打ち手を真剣に考えるきっかけとなります。

では次にこのRecruting kick-off meetingに誰を呼ぶのかという点です。

誰がRecruting kick-off meetingに参加するのか?

前述にあったように、採用募集をかけている現場のトップや、支社・支店のトップに参加いただくことは大切です。

そして、是非、呼んでいただきたいのが、現地の採用市場をよく把握しているエージェントです。そのためにも、貴社の採用活動にコミットして協力してくれる現地エージェントを1社見つけておきましょう。もちろん実際に採用活動を始める時には、複数のエージェントに協力してもらうことになるでしょうが、ここでは採用担当者と意思疎通のしっかりできるエージェントを1社選んでおきましょう。できれば現地の採用データを豊富に持っているエージェントがおすすめです

さらに自社で働いている現地採用した人材にも声をかけることをお勧めします。Recruting kick-off meetingにおける彼(彼女)の役割は、リアルな求職者の声の代弁です。現地のターゲット人材は一体どんな就職感をもっているのか、自分たちの会社で働く魅力は何なのかを現地の人材目線で把握しておくことはとても大切だからです。

ではこの会議において採用担当者の立ち位置はなんでしょうかそれは会議の進行役=ファシリテーターです。Recruting kick-off meetingにおいては、このファシリテーターの進行次第で効果的な会議になるか、ならないかが決まります。まずは、この会議のアジェンダ(進行内容)を決めましょう。話し合いたいテーマは状況により違ってくるでしょうが、話し合っていただきたいのは以下の3点です。

Recruting kick-off meetingで確認するべき3つのポイント

  • 採用の背景の共有

なぜ今回採用活動を行うことになったのか。その背景を共有することが大切です。グローバル戦略から紐付いた採用活動であることが再認識されるようエージェントも含めて共有しましょう。

  • 求める人材像の理解

この会議において最も重要なアジェンダです。今回ターゲットとする人材は一体どのような人材なのでしょうか。それを明確に定義し共有しましょう。よく陥りがちなケースは、求める人材像が抽象的な言葉の羅列で終わってしまうことです。

例えば、「主体性があり」「自ら市場創造できる」などです。こうした抽象的な表現をすると、期待する範囲が広すぎて、それぞれが独自の解釈をしてしまいます。具体的に求める人物像を描くためには、以下の3点の押さえておく必要があります。

それは「状況」「行動」「結果」です。つまり「どんな状況で」「どんな行動がして」「こんな結果を生み出す」人材のことを我が社では「主体性がある」としよう、と合意するのです。ここまで具体化できれば、面接時の評価のズレも少なくなりますし、エージェントから上がってくる候補者のマッチング率も高まります。

  • 採用マーケットや求職者の理解

現在の採用マーケットはどうなっているのか。データなどを用いて現状を共有しましょう。また、求職者は何を求めて就職先を決めるのか、求職者にとって自社の魅力と課題は何かなどは、ぜひ現地採用した社員から声を拾いたいものです。とりわけ内定時の条件交渉については、事前に対策を練っておく必要もあります。

Recruiting Kickoff Meetingを成功させるために最も大切なこと

そして最後に、Recruiting Kickoff Meetingを行う上で、なによりも重要なのがファシリテーターである、採用担当者のスタンスです。採用担当者が、とにかく与えられた採用責務のみを全うしたいと思っていれば、関係者たちは、あなたのことを単なるベンダーだと思うでしょう。

あなたが、関係者のビジネスを成長させよう姿勢で臨めば、関係者たちは、あなたのことをビジネスパートナーだと思い、積極的に協力してくれるはずです。その会議の場で、どんなスタンスで臨み、どういった言動をとるかで、周囲の動き方も変わってきます。

採用活動を成功に導くためのRecruiting Kickoff Meeting、ぜひ取り組んでみてください。

 

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菊池 龍之
1976年滋賀県生まれ。同志社大学卒業後、人材コンサルティング会社である日本データビジョンへ就職。2011年に「世界の採用を研究し、日本のこれからに活かす」をモットーに株式会社コヨーテを設立。採用研究をベースとして、コンサルティングや各地でのセミナー活動を行う。2016年4月に家族でマレーシアへ移住。日本で働き、マレーシアで暮らす2拠点生活を実験中。グローバルリーダーシップ研究所の研究員も兼務し、現地企業の人・組織をテーマとしたリサーチ活動も行っている。
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