シンガポールでの研修を成功させるために重要なこと

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この記事に来られたあなたは、シンガポールで企業研修を企画しようかなあとお考えでいらっしゃるかと思います。シンガポールでの企業研修は、まずは大きく2つのパターンがあります。

1、日本から日本人がシンガポールに来て学ぶパターン
2、シンガポールにある日系企業が現地人を含め現地開催の研修パターン

今回は、どちらの方にもお役にたてるように、章を分けてお伝えいたします。

ちなみに、私は1994年よりシンガポール在住で人事業務、特に育成業務を含む、管理系のマネジメントポジションを勤めさせていただく中で少なくとも10年程は企業研修の企画や運営、或いは自身が講師トレーナーとして活動をしてきてますので、そういった経験を踏まえてお話ししたいと思います。

—【目次】——————————————————————-

1. シンガポールにて開催される研修
1-1. 日本から日本人がシンガポールに来て学ぶ研修
1-2. 現地人を含めたシンガポール開催の研修

2.  シンガポールにて開催される研修のメリットと注意点
2-1. 日本から日本人がシンガポールに来て学ぶ研修
2-2. 現地人を含めたシンガポール開催の研修

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1. シンガポールにて開催される研修

1-1. 日本から日本人がシンガポールに来て学ぶ研修

この研修の一番大きな目的は、「海外においての【ならでは】の経験から得られるもの」を通じて異文化マネジメントやリーダーシップ力を高める、というものが多いと見受けます。

この場合に気を付けなくてはいけないことは、外的要因として

a. 国としての政治的リスクはないか
b. 適した研修場所が準備できるか
c. 適した研修講師は見つけられるか
d. 費用(旅費/研修場所の確保、宿泊先の確保、それら交渉の方法や相場)は適
e. 季節による懸案要因の有無
f. 準備機材などは現地調達できるのか、日本から持っていくべきか

などがあるでしょう。

またよくある例として、日系企業以外の企業訪問や、直接的にシンガポールのビジネス街に出ていって街を歩くシンガポールの人たちにインタビューをし、そこで彼らのニーズを聞き出したり、また現在シンガポールの置かれている状況を分析し、それに対して自社の持つ製品やサービスをどうビジネス化していくか、というビジネス戦略を練るような研修があります。

例えば、これを例にとって研修を考えているとしましょう。その場合、日本国内ではなく海外で研修を実施することから気を付けないといけない点は、外的要件また内的要件があるでしょう。それをまとめて記載してみます。

a) 国としての政治的リスクはないか

あなたも感じていらっしゃる通り、シンガポールは問題ないと言って構わないでしょう。

シンガポールにおいては現政権が存在している限り国内政治的な部分におけるリスクはかなり低い、或いは、ほぼないと言って過言でないと言えます。が、一方で、多国籍・多民族・多宗教の人々が住んで仕事をしているこの国においての一番の懸念点は、政府も最近、国のあちこちに看板として出している「Not IF, but WHEN」の一言に集約されます。つまり、今シンガポールにおいては「テロを、起こるかも、というレベルでは捉えておらず、起こることは十分あり得、問題は『いつ起こるのか』である」という捉え方をしている点です。
(英語、中国語、マレー語、ヒンディー語で記載され街中に貼られているポスター)


もうこの頃では日本国内にいても、そして海外に出ても「リスク」はどこにでもある、ということを肝に銘じて、ここを出発点として考えるべきです。

b) 適した研修場所が準備できるか

シンガポールは既に東南アジアにおいては押しも押されぬ一等国になってきましたので、研修ができる環境が見つけられないということは考えづらいです。例えば、ホテルのボールルームにしても、或いは研修設備のある施設にしても、日本と変わらない設備は期待できます。

一方で、研修内容にもよりますが「クラス内での座学のみ」にはならず、街へ出ていき、ローカルの方と触れ合う時間を持ったり、非日系企業に訪問することなどを考えると、小さな国であるとはいえ、交通の便などの観点から、Cityにいたほうが効率的であることは明白です。

c) 適した研修講師は見つけられるか

実は海外での研修実施においても「良い講師」に巡り合えるかどうかがキーであると言って過言でないと思っています。もちろん、研修を企画するときの「良い講師」の定義にもよるのですが、日本国内で非常に優秀で素晴らしいと有名な講師にそのまま海外に来ていただき、そこで研修をしてもらってもなかなか思うような結果を持って参加者が日本へ帰ることができない、というご意見は色んな方々からお伺いします。

それはなぜか?

もちろん、日本国内で有名な素晴らしい講師はたくさんいらっしゃいますし、それを否定する気持ちは毛頭ありません。ただ、ここで申し上げたいのは、冒頭にも記載している通り、「そもそもなぜシンガポールに出てきて研修をするのか」にフォーカスを当てなくてはならないのです。

日本でも実施可能である研修になってしまうのであれば、そもそもリソース(資金・時間)を使って海外へ出てくる必要はないというものです。且つ、もし海外で講師として立つ人が、海外での実務経験が十分でない場合、既に日本国内での仕事の中で常識として持っている参加者の方たちのものの見方、感じ方、考え方を破るだけの経験談・実体験がないことも少なくなく、参加者たちの「なるほど、だからこういう風に違うんだ」「では、日系企業に勤める自分はどう考え、どう動けばいいか?」という深い洞察に持っていくことが難しいということになります。

d) 費用(旅費/研修場所の確保、宿泊先の確保、それら交渉の方法や相場)は適切か

費用について、最近では場合によって日本とほぼ同等、或いはより高価になる可能性もあります。

① 交通機関(特にタクシー)
例えば、時期・そして時間にもよりますが、シンガポールの国際空港チャンギ空港に到着後、チャーターバスを使わずにタクシーなどで宿泊先の街中のホテルまで行く場合はこんな価格体系となります。(2017年9月時点)

シンガポールは法治国家で且つ国民もこの国が出来上がって以降過去50数年間そのように教育をされているので、白タクというような仕組みもなく、メーターを倒さずに価格交渉をしてくる、というようなタクシーもありません。よって「ぼったくりタクシー」という危機意識を持つ必要はありません。が、目に見える形で、時間帯によって、また通る道によってさまざまな課金がされているのがここしばらくの傾向ですので、思っていたよりも高くつく、という印象があるのは事実です。

また公共のバスや地下鉄もとても便利です。こちらは時間はかかりますが、かなりお手頃金額で移動できる手段ではあります。

② 宿泊先の確保

ピンキリですが、最近では宿泊施設もたくさんあります。

ビジネスという観点で選択されるならば、SGD150/泊前後(2017年9月現在12,000円前後)の4つ星ホテル辺りが清潔・安全・便利という点で安心でしょう。

また時々、宿泊先の会議室(ボールルーム)を研修室にされる企業もあります。通常でしたら、4つ星ホテルの会議室(例:20-25名程度集客可能の大きさ)を1日借りると午前・午後の休憩時間用のスナックや飲み物とランチがセットでSGD2,000~(約15万円~)となるようです。とはいえ、宿泊割引もあるようですので、もし移動時間などの煩雑さを避けることの優先順位が高ければ、この方法もお勧めです。

③ 研修施設利用

宿泊先を利用せずに、どこか研修施設を利用されたいと言われる企業もあります。

その場合は、「シンガポール日本人会」(120 Adam Rd, Singapore 289899)を利用されるのも一つの手です。ただし、日本人会は会員制ですので、使用されたい方、或いはその方の属している在シンガポール現地法人が日本人会会員であれば、比較的使いやすい価格で提供してくださっています。

それ以外にも会議室を研修用に提供しているサービス会社などもあり、総じて価格は4つ星ホテルよりも低めで借りることが可能です。

④ 価格交渉

外国の場合、価格交渉は国によってその落としどころが違うことをあなたもご出張やご旅行を通じご存じだと思います。

シンガポールの場合は、ローカルの人々が行く食品マーケットや、ローカルの人同士だからこそ融通しあう値引きはあるにせよ、一旦ビジネスという立て付けの中においては、価格交渉は公の割引率を提示されてない限り、少々困難だと考えておいた方が良いと経験上感じています。

たった一枚のコピーをホテルの受付にお願いしてもやはりきちんとSGD2と課金されてきたこともあり、このあたりはビジネスライクに捉えておいた方が良いでしょう。

e) 季節による懸案要因の有無

季節による注意点、気候の点と価格の点をいくつか挙げておきます。

① 乾期・雨期

シンガポールは熱帯雨林の国ですので、乾期・雨期という2つの時期に大きく分けられます。
街に出て行って実際に歩いている人たちに声をかける、他社を訪ねるなど、外の移動をたくさん課すような研修を企画される場合は、若干この「季節」についてはご留意されるといいかと思います。

よく言われるのは雨期は「だいたい二けたの数字の月になるころから旧正月が明けるころまで」と言われます。つまり10月頃から2月頃まで、という形です。ただ、この頃の地球温暖化も手伝ってか、必ずこの期間であるとは言い難く、だいたいこのくらいの期間は雨期なので、ひどい雨が毎日数時間降る可能性が高い、という理解をされておけばいいかと思います。

また雨がひどく降ると、例えば地下鉄が故障して止まってしまったり、タクシーがつかまりづらくなったり、通常はウィークデーに運転しないウィークエンドドライバーが運転をして出てくるので、必然的に交通量も多くなり、外での研修実習の後、研修会場へ戻ろうとして遅刻する参加者が続出するなどということも考えられます。

② 航空チケット代金アップ時期

シンガポールでは子供の学校の休暇に合わせて多くの方々が少し長めの休暇を取って海外旅行に出かけることが多い関係で、この休暇時期にはシンガポール発着の航空機チケットの価格が上がります。

例えば2018年については以下のような休暇が既に決定しています。
http://www.straitstimes.com/singapore/education/moe-releases-2018-school-calendar


つまりこれらの時期とその前後1週間程度は航空機チケットが値上がりすると考えられていいかと思います。

また余談ではありますが、毎年9月にはF1シンガポールグランプリも開催され、この時期にも海外から沢山のF1ファンがシンガポールに集うことから、この時期も航空機チケット、及び宿泊価格がアップすることも付け加えておきます。

③ 宿泊代金アップ時期

これもシンガポールの学校の休暇やイベンドに合わせて価格が変動しますので、時期を見定めて決定されることをお勧めします。この頃では、子供の学校の休暇中も海外に行かずに、シンガポール国内でVacationをする「Stay-Cation(ステーケーション)」というのも少しはやっていたりするので、その関係もあるかと思います。

f) 準備機材などは現地調達できるのか、日本から持っていくべきか

特別な機材を使わない限り、通常研修で使う機材や文房具などはシンガポールのホテル会議場、或いは研修室で入手可能です。

例えば、プロジェクター、スクリーン、フリップチャート、白板、マーカーなどはまず問題なくこちらで準備できるものです。
過去に一度「参加者の発表シーンをビデオを撮影したいが、借りられるか?」と当日聞かれたことがありましたが、これは無理でしたので、必要な方は日本からお持ちください。

1-2. 現地人を含めたシンガポール開催の研修

多くの場合シンガポールにある現地法人や支店が主催します。
参加される方々は、東南アジア地域、時にはインド域、中東、東アジア、オセアニアまで広がる関係会社や子会社、時には日本のご本社の参加者も共に学ぶ研修になります。

シンガポールを地域統括会社(Regional Head Quarter:RHQ)とされている企業が多いことから、こういう地域レベルの研修をシンガポールにて企画立案・実施されることが多いのです。

特にそれぞれの国単位では研修参加人数がそろわない、或いは、なかなかそれぞれのローカル市場で日本人側が思うような研修ができる研修会社や講師がいない、ということもあり、比較的選択肢の多いシンガポールの地にそれぞれの国から選抜されたマネージャや、シニアマネージャ、時にはダイレクターレベルの方々まで来られて共に研修を受けることになります。

シンガポール以外の国から参加者が集まってくる場合の注意点は2.1で既に述べたのと同じことになりますが、この設定の場合の更なる注意点は、日本人に比べて宗教心の強い方が外国人には多い分、食事や、宿泊場所のアレンジに少し気を付ける必要があります。

例えば、ムスリム(イスラム教徒)の方が来られる場合は、できれば「ハラール」の食事を準備してあげると彼らは安心するでしょう。ちなみに日本でもこの頃はムスリムの方が沢山観光で来られることからこの「ハラール」の概念は浸透してきていますが、念のためにウィキペディア を調べるとこんな風に書かれています。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB)
ハラール(アラビア語: حلال‎)は、イスラム法で許された項目をいう。
端的にはイスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指す。なお、日本では「ハラル」と書くことも多い。イスラム法の下で豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関しての一定の作法が要求される。この作法が順守された食品がハラールとされる。

またインドから来られる参加者は、多くがヒンズー教徒なので、ベジタリアンであったり、牛肉は食べない、というような食事のとり方をされる方もいます。よって、「参加者も多いことだし、和気あいあいとできるので一堂に会して中華料理に行こう」と安易に決めてしまっては、食事中、何も食べられない人が出てくる可能性があります。

そして、この食事制限は、日本人が「ちょっとダイエットで今はお肉は食べない」というような質のものとは全く違うので、真摯に受け止めてあげてください。

また宿泊場所についても少し注意する必要があります。シンガポールは宗教施設もあちこちに点在しており、違う宗教間での争いなどは見たことがありません。しかし、外国から来られる熱心な宗教観を持った方々には、例えば、ムスリム寺院の近くには宿泊したくないというクリスチャンがいたり、仏教寺の近くではなくヒンズー教寺の近くに、というヒンズー教徒もいらっしゃるかもしれません。

よって宿泊先を考える際も、中立的な市内の宿泊施設をご検討されることをお勧めします。

2.  シンガポールにて開催される研修のメリットと注意点

次に実際にシンガポールでたくさんの企業が研修を開催されているそのメリットと注意点について説明します。

2-1. 日本から日本人がシンガポールに来て学ぶ研修

2-1-1メリット

もちろん海外にきて実際にその地を肌で感じ、その地の人を見て、話をしてみて、直接的に「違い」に触れることができる点につきます。

日本にいてもテレビやインターネット、雑誌や新聞から多くの情報を仕入れることはできます。また、仕入れた情報から想いを馳せ、想像力を駆使して、市場分析をしたリ、それぞれの土地の人たちを思い浮かべてビジネスになりそうなものを形作ることも可能でしょう。

しかし、やはりその土地にて、その土地の空気を感じ、その土地の食事を口にし、水を飲み、その土地の人たちの話を直に聞くところから感じ取れるものは、まさに「百聞は一見に如かず」と言えるはずです。

多くの企業の参加者からの事後アンケートフィードバックにおいて「もっと現地の人の情報を集めたかった」「『違う』ということをここまで強烈に感じたことは今回が初めてだった」「国の成り立ちや国の持っている文化がこんなに人々のものの考え方の違いを促進する、ということを学んだのが今回の一番の収穫」などといった言葉にも表れていると思います。

2.1.2 注意点

これは私もよく研修中に申し上げることでもありますが、「自分で作った枠の中でシンガポールという国を理解しないでください」という点に尽きると思います。

人間ですから、誰しも何かを理解するときに「よりどころ」になるものを以って新しい事柄を吸収理解していくものだとは思いますが、「日本ならば…」「日本人は…と考える」という枠組みの中で外国を理解しようとすると、やけどをすることが多いと思います。その理由は、そこに自然と「善悪の判断」が入ってくるからです。そして一旦「判断」を下してしまうと、人間の脳は困ったもので、そこからなかなか抜け出せなくなります。

よって、これはシンガポールに限らず、どこの国に行くときでも、まずは「自分の中を真っ白」の状態にして目の前で起こること、聞こえることをそのままじっくり観察する、という態度を忘れないでいただきたいと思います。身の安全の確保などはもちろんしっかりしておく必要がありますが、そのほか、当地のやり方、考え方、その土地の人の理論などへの判断は後で加えればいいのです、さっさと加えて自分にブレーキをかける必要はありません。

そして、観察から理解の過程の途中で「あれ?」と思うことは同じくすぐに判断せずに「質問をすること」です。「なぜそう考えるのか?」「なぜそういうやり方をするのか?」「どういう背景から今のこういうやり方になってきたのか」「どういう理論のもとにそうなるのか?」など。

そして、そこを起点にものを考えていってほしいと思います。

2-2. 現地人を含めたシンガポール開催の研修

2-2-1メリット

一つ目は、まさに人種のるつぼの中での研修になるため、価値観のぶつかり合いになる点です。

価値観ですから、どちらが正しい・間違っているというのは一概には言いづらい。さまざまな国の人が色んな価値観で、同じ研修内の議題について話し合いや議論をするさまはまさに圧巻です。上で述べたのと同じですが、色んな価値観、考え方が交錯する中で、日本人は自分の立ち位置を考えさせられる機会になることが多いと見受けています。

企業戦略の話に入る前に、

「あなたは何のために今のこの仕事をしているのですか?」 というような質問を投げることがあります。

ここにはその人その人の人生の縮図が見えてきます。全く違う土壌で育ち、異なる教育システムに乗っかって高等教育を終え、今日まで仕事をしてきている仲間と損得勘定抜きで同じ議題で議論を交わせる場を持ち、影響を与え与えられることが、まず一つ目のメリットと言えるでしょう。

二つ目は、人脈構築です。

研修の場では、上にも紹介したように「学問」としての知識共有にとどまらず、現在それぞれがそれぞれの拠点で面しているビジネス課題や、経営に対する質問、時にはキャリア人生全体を見つめた視点から、お互いに意見や考えを述べ合う場でもあります。

ここで、お隣の国のスタッフ、或いは、地球の裏側にいる同じ会社のスタッフと妙に価値観が似ていたり、目指すゴールが似ていることなどが判明して、意気投合し、「これからもこんな素晴らしい仲間のいるこの会社で頑張っていこう!」と思う人が多いのも事実です。

私自身もご多忙にもれず、ちょうど15年前に世界各国から集めた次期幹部候補生研修の中で知り合ったノルウェー人と今も連絡を取り合う仲です。もう面と向かって会うことはないのかもしれませんが、たとえ、離れていても、こうやって何か仕事上で困ったことが出てきたときには「ちょっとあの人に相談してみようかな」「彼女ならどう考えるだろうか?」と思える仲間づくりができるのです。

また企業によっては、集めた次期幹部候補生たちに「お互いに親密になってもらって、いずれはあなた達が中心になって在外日系企業をマネジメントしていってほしい」と明確にメッセージとして発信される場合もあります。

2-2-2 注意点

日常的なことで言えば、先にもご紹介した食事のこと、宿泊施設のことなどになるでしょう。

また良く国際会議の議長を務める方が「議論を進めるうえで一番難しいのは、インド人を如何に黙らせて、日本人を如何に喋らせるかだ」とおっしゃったことがあるそうですが、講師である私もそれは常に感じています。

インド人に聞くと、「分からないことでもとりあえずは自分の意見を述べてみる姿勢が大事だ」と言いますし、日本人に聞くと「自分の中できちんと咀嚼でき切れてない筋の通ってないことを口に出すのは、軽率である」と言います。これも価値観の違いでどちらが決定的に正しく、どちらが間違いではありません。

なにじんでも同じですが、研修の場で誰か一人、或いは数名ばかりが意見を述べて、場を占領するようなことになってはいけません。あくまでも研修は参加者全員が学ぶ機会を与えられている場です。もし、事前にこういうことが起こりそうな状況であるとわかっている場合には、事前に講師にもその旨をきちんと伝え、対応を協議しておく必要があります。(多くの場合、講師はこのあたりをうまくさばくスキルを持っています)

 

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サンディ 齊藤
1994年渡星。アジア進出日本企業の日系企業らしいグローバル化・ローカル化を促進することをミッションに在アジア日本人駐在員向け、ローカル社員向けにリーダーシップ研修を核としたマネジメント研修を幅広く実施、その他企業戦略やMVVに即したグローバル化・ローカル化推進のための長期プロジェクトにも関わる。
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