担当組織の目的を果たす管理職の役割、能力、実践行動のポイント

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管理職の役割とは、
1.担当組織の目的を果たすこと(売上、数値目標など)
2.部下を育成することです。

一方で、
・グローバル競争
・働き方改革
・ダイバーシティマネジメント
など、管理職を取り巻く環境も目まぐるしく変化し、

管理職の旧来型の役割ややり方だけでは経営方針を踏まえ、多様な人材を活かし、目標達達成することが難しい時代になってきました。

では、管理職に求められる役割や具体的な行動とは何でしょうか。

御社管理職(もしくはあなた自身)は実践できているのでしょうか。

この記事を読むことで、御社の管理職が組織の生産性が上げ多様な価値観を持つ人材のポテンシャルを最大限活かす術を知ることができます。

また、役割のポイントごとに企業における事例や、管理職が具体的にどのような行動をすべきかを一つひとつ解説していきます。

私はこれまで10年に亘り日系企業を見てきたので、きっと御社のお役にたつと思います。
ーー<目次>ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.管理職の役割を理解する
2.売上をあげるための管理職に求められる具体的行動を理解する
3.管理職の実態を知る
4.売上をあげるための管理職の課題と解決策を理解する
5.管理職に求められる具体的行動を起こすために必要な人事部の施策
最後に

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1.管理職の役割を理解する

一般的な管理職の定義を確認する

まずは、管理職の定義をおさらいします。
共通の認識をもっておくことで自社(あるいは自分自身に)どのような具体的行動をすべきかがイメージしやすくなりますので、ここで一般的な管理職の定義を見ていきましょう。

wikipediaでは「管理職」を下記のように定義しています。

労働現場において、労働者を指揮し、組織の運営に当たる者を指す。
労働組合法においては、役員雇入、解雇、昇進または異動に関して権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係について機密の事項に接する監督的地位にある労働者。民間企業および行政職公務員では「課長」以上がこれに該当し、教育職の公務員では、校長教頭教務主任を含む県もある)がこれに該当する。

要は、労働者へ指示を出し組織を運営する監督的な存在です。

一方、管理職は英語ではマネジャーとも言い換えられますが、マネジメントの発明者と言われる、ピーター・ドラッガーは、マネジャーとは、「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。
ファディナンドドラッカ(Peter Ferdinand Drucker。1909年〜2005年)、オーストリアウィーン生まれ、経営学者。現代経営学)あるいは「マネジメント」(management) の発明者。)

上記からも管理職とは組織の成果に責任を持ち、労働者へ指示を出す監督的存在である必要があります。

では、次に管理職に求められる役割とその変化について具体的に見ていきましょう。

管理職の「役割」を理解する

理解しやすくするために共通認識をもっておきたいのが、日本における管理職になるまでの年齢や役職です。
一般的には以下のように整理されています。

また、今回の記事で言う管理職とは、日系企業における部長、課長、係長層を指しています。

管理職に求められる役割を考えるにあたり代表的なモデルはよくバランスト・スコア・カードが用いられます。

短期的な成果だけではなく長期的な人材育成までのバランスをどう取っていくが重要になります。

「プレイングマネジャー」が当たり前の世の中になってきていますが、自分の業務や成果だけを追い続けるのではなく、組織をどのように運営し自分がいなくても担当組織の目的が達成し部下をどれだけ育成できるかがが鍵となります。

このような役割を発揮するために管理職に求められる主な能力としては、下記のように整理されています。

単に管理する能力だけではなく、
・人への影響力であるリーダーシップ
・部下育成
また役職があがれば経営側にも参画する意識も必要となってくることが分かります。

これからの管理職に求められる「能力」を理解する

では、日本において管理職に求められる能力はどのように変化しているのでしょうか。

従来の組織の特徴は、一言でいえば「上位下達型」でした。

・会社では「同質性」が求められ、それが強さだった。
・会社の立場が強かった。従業員は会社の方針に従順であることが美学だった。
・上司や先輩から上位下達型の「べき論」の指示や教えを受け、ひたすら指示通りに仕事に打ち込み尽力してきた。

一方、働き方改革を成功し組織の生産性をあげる次世代組織の特徴は、「多様性型・イノベーション型」です。

・社員も「多様性」や「創造性」が価値を持つ時代となった。
・一人ひとり個人の価値観動機付け条件を把握し、活かすことがとても重要。
・従業員は、一方的な指示待ち人間ではなく、上司と対等な立場で意見や議論ができる環境が必要。

簡単に図で示すと下記のようになります。

このようなこれからの時代の変化に対応出来る組織になるためには、管理職には以下の能力が求められます。

  • 部下のエンゲージメントを高め、生産性に変えられる力
  • それぞれ従業員が個性を発揮できる「場」をつくる力
  • 多様な価値観や意見を取りまとめ、活かす力

ではこのような能力を発揮している状態について、具体的にイメージを掴むために行動例を見ていきます。

2.担当組織の目的を果たす管理職に求められる具体的行動を理解する。

具体的行動については、これまで約300名以上の管理職を接してくる中で見えてきた
共通項を行動としてまとめています。

①戦略的集中と選択する行動
②生産性をあげるため行動
③多様な人材をマネジメントし強みを活かす行動
④投資対効果とイノベーションを起こす行動

この4つに集約されます。
では、それぞれの具体的行動について項目別に箇条書きに記します。

まずはチェックをした上で自社管理職(あるいは自分自身)に不足している点がないか確認してみましょう。

①戦略的集中と選択する行動
□経営の考えを踏まえ自部署の方針が明確にあり自ら打ち出したビジョン、戦略を部下に語り、部下が納得している
□自分あるいは、部下の業務の劣後順位を決めて日々行動している
□意思決定が素早くできる(判断軸が明確にある)

②生産性をあげるための行動
□自分自ら時間あたりの生産性を上げている。
□効率化だけでなく、効果的な業務プロセス改善を組織として考えている。
□組織のために最も重要なことを3つに絞っている(それ以外はやらない潔さがある)

③多様な人材をマネジメントし強みを活かす行動
□人材のバックグラウンド、夢、モチベーションの源泉を理解している
□人材の強みを理解しており(本人も理解している)、どうキャリアを描き歩かを握れている
□雇う・雇われるという関係ではなく、人生を充実に過ごすための支援者という関係を双方理解している。
□本人に最後まで、自らやらせる(任せる)

④投資対効果とイノベーションを起こす行動
□49%はリスクでも、51%行けると判断したら即GOを出している
□会議は一方的なトップダウンではなく、現場の本音や問題意識を共有化している
□サービスの効率化と、イノベーション(マーケットイン)の両軸を常に追う意識と、目標がある

3.管理職の実態を知る

これまで見てきた役割・能力を管理職が具体的に実践するためにここから管理職の実態についてみていきます。

本来の役割が発揮できない管理職の実態を知る

マネジメントに対する意識調査結果にて、「あなたが考えるマネジメントの定義は何か」を聞いたところ、90.4%が「人を育てること」が最多となった。
次いで、「成果を挙げること」(70.4%)、「管理すること」(39.2%)となった。

「あなたがマネジャーとして悩んでいる事は何か」を質問すると、最多は71.1%で「人を育てること」だった。以降、「モチベーションを高めること」(59.5%)、「成果を挙げること」(48.2%)と続いた。

【2015/12/21】アルヴァスデザイン「マネジメントに対する意識調査結果」より。対象民間企業に勤務する管理職311名。期間は10月5日~10月26日。

ある大手メーカーでは、外国人の部下をどうモチベートさせながら、業務にコミットメントさせられるか悩んでいる。

以前上司だった方が部下になり、関わり方に悩んでいるという声も聞きました。

自分自身のモチベーションや成果を出すことなど、管理職として部下や他部署と関わるため自分一人では解決できない悩みであることが分かります。

では次に、経営者や部下は管理職に対してどのようなことを期待されているのでしょうか。

経営者が求める管理職への期待を知る

経団連の調査でミドルマネジャーに求める役割の変化として下記のような結果が出ています。

自分(経営者)自身がミドルの頃に重要度が高かったもの
・組織や部署が直面する様々な課題を解決する
・部下に必要な業務指示・指導を行ない、その進捗状況を管理する

現在重要度が高いと思うもの
・経営環境の変化を踏まえた新しい事業や仕組みを自ら企画立案する
・部下のキャリア・将来を見据えて必要な指導・育成をする

この結果から分かることは、上からの指示に従い、管理監督する役割から、経営を意識し、自ら創意工夫しながら、部下の可能性を引出すような育成が求められていることです。

更にこの調査では、実際ミドルマネジャーが達成できていないと思うものについても調べており、「現在重要度が高いと思うもの」2つが最上位にランクインしています。

このギャップの背景にあるものについて次の事例を通じて考えます。

具体的事例を通じて管理職への期待と現実とのギャップを理解する

海外比率54%を超える従業員1万名以上の日系企業経営者も、イノベーションや、ダイバーシティマネジメントを実現するには、マネジャー自身がマネジメントの仕事に集中しなければならない。なかなか出来ていないと悩んでいらっしゃいました。

実はこの会社は、外資系制度を取り入れ、管理職を半数以上減らし、組織を年功序列から完全成果主義に切り換えたという背景があり、その影響は特に管理職に影響を与えています。このように求められる役割と出来ていない現実のギャップの背景には、

・管理職自身が新たな行動を起こせないほど「やるべきこと」が多く、追われており余裕がない
・ダイバーシティマネジメントや働き方改革も組織として進める中で、そもそも管理職にその意識がない

など、上司からも部下からも他部署からも様々な要望が集中しコントロール不能に陥っていることが考えられます。

4.担当組織の目的を果たす管理職の課題と解決策を理解する

では、このような管理職が求められる役割が発揮できるようになるためにはどうすれば良いでしょうか。

事例を通じて紐解いていきます。

具体的事例「プレイングマネジャー」を通じて管理職の課題と解決策を理解する

日系メーカーで100名を抱える課長がおり、管理職として2つの事業をみていました。
当然自身も成果を背負っており、自分で抱え、常に全力投球な方でした。目標も常に達成してきましたが組織統合からこれまで関係のない組織までもマネジメントしなければならず自分でどうマネジメントすれば良いか悩んでいました。

この方は管理職として、求められる役割の中で、「戦略的集中」が全く出来ていませんでした。部下を信頼できず最後は自分でやるという考えがあったからです。

話しを聞いていくと「部下を信じない」のではなく、「自分に自信がなく弱い自分を見せたくない」という声が本心でした。

そんな自分を部下達に自己開示したところ、自然と肩の荷がおり部下たちにも様々な権限や責任も降ろすようになったのです。

この事例からは、マネジャーのやり方や、組織の仕組み(異動や人員補充)で
変えがちですが、大事なのは「管理職の意識を変えること」なのです。

具体的事例「過去の成功体験」を通じて管理職の課題と解決策を理解する

日本で全国拠点を構えるサービス会社の部長の例です。

自分のやり方が正しい自分の考えが絶対だという方で、研修や様々なアプローチをしても、自分の中の型が決まっており求められる役割ややり方も取り入れず、「結果だけ残せば良い」というまさにモーレツ社員そのものでした。

この管理職の下で起きていたのは、メンバーのモチベーション低下、また離職問題です。この状況に対して管理職も意識はしていたものの、そこそこ結果も出ていたので目を向けていませんでした。

研修後に一対一で話しを聞いてみると、実はこの方、「自分のやり方が通用していないことに気付いていたがどうして良いか誰にも相談できず悩んでいます」という声を聞けました。

やらなければいけない義務と役割の中で実は様々な悩みを抱えていらっしゃったのです。

ここで大事なことは、管理職になった方々へこれからの組織の
マネジメントを促進させるために「マネジメントのやり方やパターンを提供する」機会を持たせることです。

このような事例から分かるように、管理職の役割だけでなく人としての本音を通じて悩みや課題を解決できれば、自然と求められる役割は発揮できるようになります。

管理職のタイプと特徴を理解する

これまで300名以上の管理職と向き合う中で、見えてきた管理職の課題パターンを私なりに整理していますのでご紹介します。
自社の管理職(あるいは自分自身)がどのタイプが多いかで課題解決アプローチのパターンも変わってきます。

タイプ 特徴
ダイナミック自走型 行動すべきことや理由・目標などが自分自身で明確になっていて、行動するしかない。
コツコツマイペース行動型 自分で立てた目標に対して忠実に手数を重ねて実行する。しかし、周りが見えていない(周りに関心が低い)ので空周りする可能性がある。
上司次第目標死守型 信頼できる上司の存在があれば、何でも実行する。信頼する上司の期待に必ず応える。その代わり、簡単に信頼しない。自分の意思はほとんどない。
不満爆発型 現状の環境や人に対して不満が明確にある。周りに対して不満を撒き散らしている。周りに与えるマイナスの影響力が確実に生じている。
バランス重視・現状維持型 一見、ものすごく人当たりがよくバランス感覚に長けている。人から頼られる存在で現状に満足し変化の必要性は感じていない。新しい挑戦ができる人間だと自分で思えていない。

5.管理職が求められる具体的行動を起こすために必要な人事部の施策

ここでは管理職が求められる具体的行動を起こすために、必要な人事施策やポイントについて整理しておきます。

透明性ある評価制度を運用する

管理職が部下を育成する機会として評価があります。

透明性とは、例えば、
・自分がどうなったら次のポジションにあがれるのか?
・自分が何がどうなったらいくら給与があがるのか?
・自分のキャリアはどうなっていくのか?
ということが明確に理解できるということです。

評価制度の目的は人が成長し企業の売上があがることです。

管理職もその位置づけ分かっており面談等の場で足りている点、足りない点をフィードバックする力も必要です。何より本人が心から納得しているかどうかが最も重要です。

これまで日系企業は、年功序列、終身雇用、労働組合に守られてきました。
そのため多くの会社では、評価が曖昧で、本人を成長させるフィードバックも成されていないことが多くあります。この実態を踏まえ適切な評価、フィードバックが重要です。

また、管理職自身の評価基準を明確にすることも重要です。

例えば、経営方針としてダイバーシティや、生産性、イノベーションを求めるのであればその項目と成果目標をリンクさせ基準を設ける必要がありますし、それは、
ストレッチ、且つ具体的で、定量的なものでなければなりません。

経営トップのコミットメント

管理職に具体的な行動を起こさせるには、個人任せだけではなく経営層自らが考えを表明し発信しない限り、実現はありえません。

300名以上管理職と関わるなかで、本当に会社が変わり管理職が本気になり、目の色が変わる会社の特徴は、
・経営者が管理職ヘの期待を明確に抱いて発信している
・経営者自らが、管理職育成に携わる
・経営者自らが、管理職と向き合い経営のメッセージを届け時に議論する
でした。

一方うまくいかない会社のほとんどは、人事部任せです。

グローバルで活躍するマネジャーを育成することを意識する

グローバル社会において、御社が海外展開を強化されるようであれば、
管理職の役割を考えるにあたって、国内だけでなく「海外で活躍できる管理職の育成」も意識しておきましょう。

その理由は、昨今企業を取り巻く、グローバル競争下において、海外で活躍できるマネジャーが求められているからです。

実際、経団連から下記のような調査結果があり今後日本の市場だけではなく海外市場を日本人が開拓し管理していく場合は、海外で活躍出来るマネジャーの育成が不可欠になります。

海外で活躍するマネジャーの役割となると、同じく日本経団連では下記のように定義しています。

国内でまずは管理職として求められる役割発揮と、具体的行動が出来た上で、異文化の下、市場や言語も異なる中で、ローカル社員を束ねる管理職育成が求められてきます。

最後に

管理職は、顧客含む外部、経営者、部下、他部署の間に立つハブ的存在として、担当組織の目的を果たすには重要なポジションです。
求められる役割や能力が変化していること、一方的なマネジメントのやり方では多様な人材を活かすことは困難になってきていることを、管理職自身が納得し、管理職自身がモチベートされ、具体的実践行動が成された際には、組織の目的だけでなく、そこにいる従業員も間違いなく成長するでしょう。

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和久田 恵太郎

和久田 恵太郎

Chief Operating Officerbeyond global Japan株式会社
大学卒業後、大手外資系メーカーでプロモーションや新規開拓営業を経験。シェアを拡大し販売モデルを構築。5年後、株式会社シェイクに入社し、コンサルティング部門の責任者として企業ごとの経営戦略からあるべき人材育成を描くコンサルティング営業を行う。特に研修設計から組織開発の企画と実行までを担う。得意分野は、ビジョン構築や組織変革デザイン。大手商社、老舗メーカー、金融系など実績手数。同時にファシリテーターとして若手向け研修の登壇や、部長から課長層へのコーチングと行動変容をサポートする。その後、beyond global グループに参画。日本の責任者として日系企業の真のグローバル化支援に奮闘中。主に組織開発、赴任前研修、グローバルマインドセット、修羅場経験のデザインなどプロデュースを行う。
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